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そとん壁は自然素材だからボロボロ落ちる? 20年後に後悔しない外壁の選び

そとん壁の重厚な外壁

左官のプロ 外壁工事のプロが「そとん壁」について解説。

自然素材の需要の高まりから、近年注目が高まっているそとん壁について今回は言及していきます。 色選びやデザインだけでなく、補修やメンテナンスの観点でもプロが分かりやすく解説しています。
自然素材だから汚れが目立つ?価格と壁性能は比例するのか?20年後に後悔しない外壁選びのヒントをこのページではお伝えしています。きれいに外壁を納めるノウハウを知れば、理想の住宅のづくりに役立つ情報となるでしょう。

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そとん壁の歴史、色選び、デザイン(パターン)について左官のプロが解説。

小手村 凪子小手村 凪子

外壁を「そとん壁」にしようかと考えていて、色々調べているの。谷澤さんそとん壁について教えて。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

25年くらい前かな、初めて見た時は衝撃を受けた。何というか目新し材料でとても斬新だった。でも当初は工事できる人がいなくて、メーカーが講習会を熱心に開催していた印象がある

小手村 凪子小手村 凪子

比較的新しい壁材なのね。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

工法も当初とは変わってきたように思う。今はメッシュを伏せ込んでいるので、かなり割れにくくなったが、当初は クラック が出ていてトラブル対応していた。ラス のジョイントなんかで出ると直すのが難しかったよ。

小手村 凪子小手村 凪子

今は割れ難くなったのね。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

塗り壁だから「クラックは宿命的な関係」とメーカーも言っているけれど、素材の改良、工法の改良、職人の技術の向上を謳っている。とても熱心で好感の持てるメーカーという印象だね。

小手村 凪子小手村 凪子

トラブルにも真摯に向き合ってきたのかな。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

しっかりと工法が確立したし、下塗り材も仕上げ材もだいぶ良くなった。

小手村 凪子小手村 凪子

デザインはどんなものが選べるの?

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

以下のパターンがあるよ

かき落とし
・一条波仕上げ
・三条大波仕上げ
・渦巻き仕上げ
スチロール鏝 仕上げ
・さざ波仕上げ

などがある。仕上げに関してはしっかり打合せした方が良いかな。

小手村 凪子小手村 凪子

どれが人気のパターンなの?

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

人気なのは、かき落としとスチロール鏝の仕上げかな。スチロール鏝の場合は抑えて終了でなく、職人の技量やセンスで壁の印象もかなり変わる。一条とか三条とかさざ波は技量の差が出にくい印象。

小手村 凪子小手村 凪子

他にはどんな点に気を付けているの?

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

かき落としの場合は、出角をどう上手く処理していくか、とても気を使うよ。どう納めるかをいつも考えている。

小手村 凪子小手村 凪子

かき落としは難しいのね。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

色味が写らないようにコーナー定木も着色したり工夫したりしている。それから塗り圧が薄くなり過ぎないように かき落とし の具合も調整しながらきれいなラインになる様に注意している。

小手村 凪子小手村 凪子

角の部分は要注意ね。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

仕上がりに関してはトラブルになりやすいので、冒頭にも言ったように、綿密な打ち合わせする事とカタログなどの仕様を良く読み込むことかな。

小手村 凪子小手村 凪子

資料を熟読するわ。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

あとは施工する時期によって色味が変わりやすいという点も注意が必要。これはそとん壁に限らず 漆喰 全般に起きる事だけれど白華現象が起きる場合がある、工事の際の気象条件などで白く浮き出て色ムラになる事があるんだ。だから 白華 によるムラが気になるという人は濃い色は避けて、淡い色合いにした方が良いだろう。

小手村 凪子小手村 凪子

そうなのね、事前に確認しておく必要があるわね。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

でも、壁材としては高性能な高級品。自然素材で、調湿性と防水性もある。断熱効果も高く、ほぼメンテナンスフリー。

小手村 凪子小手村 凪子

高品質な壁材なのね。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

質実剛健なイメージかな、意匠(デザイン) は一般的なものが多い。渦巻きというパターンがあるけれど、それ以外は面白いデザインに仕上げるのはやや難しいから、色やパターンには拘りないけど、品質にこだわりたいという人には良いと思うよ。

小手村 凪子小手村 凪子

カラーは薄い方がおすすめでしたね。

タニザワ ユウジタニザワ ユウジ

それこそ昔は施工仕様を守らない建設屋には、とメーカーが出荷しない何て事もあったみたい(笑)今はそんな事ないだろうけどね。それぐらい拘りのあるメーカーの商品かな。

小手村 凪子小手村 凪子

ありがとう、そとん壁の品質とカラーやパターンについて良く分かったわ。

そとん壁外壁の色やパターンのポイント

・そとん壁は比較的新しい壁素材。
・クラックが宿命だったがメーカーの努力で徐々に改善されてきた。
・パターンは主に6種類。
・自然素材なので白華が出る場合がある。
・調湿性、防水性、断熱性がある外壁。

そとん壁で綺麗な外壁を実現するには?施工の観点から左官のプロが解説

小手村 凪子小手村 凪子

そとん壁の仕上げパターンに詳しくなったわ。

稲熊サトシ稲熊サトシ

そとん壁は防水性もあるよ、メーカーは2層構造の効果だと言っているね、細かい粒子の下地と大きな粒子仕上げという構造だから、下地に浸水せず雨水が下に流れていくと言われている。

小手村 凪子小手村 凪子

そとん壁ではどんな仕上げが多いの?

稲熊サトシ稲熊サトシ

かき落とし」と「スチロール鏝仕上げ」が多いかな。

小手村 凪子小手村 凪子

工事を依頼する際にはどんなポイントを気を付けたら良いの?

稲熊サトシ稲熊サトシ

雨仕舞いというけれど、掃き出し窓の下とかはどうしても割れる、上から伏せるメッシュを2重にしたりもするけれど、できれば板金とか他の素材を間に入れた方が良い。

小手村 凪子小手村 凪子

他にはどんな工夫をしているの?

稲熊サトシ稲熊サトシ

下塗りの段階でコーキングして、上塗りでもコーキングする。

小手村 凪子小手村 凪子

開口部が肝心ね。

稲熊サトシ稲熊サトシ

まとめると

1.ラスの段階でフェルト防水+防水テープ
2.下塗りで隠しコーキング
3.上塗りでコーキングする

と何重にも防水する事かな。

小手村 凪子小手村 凪子

他に気を付けた方が良い事はある?

稲熊サトシ稲熊サトシ

出隅 の処理かな、コーナー定木を使っても良いとメーカーは言っているけれど、定木の色が基本は白かグレーだから、仕上げる色によって定木が透けて見えてしまう。だから僕の場合はコーナー定木を使わずになるべく通常の木の定木を使うようにしている。

小手村 凪子小手村 凪子

大変そうね。

稲熊サトシ稲熊サトシ

工程数が増える、対面で塗っていかないといけないので、とても手間が掛かるけれど綺麗に仕上がるよ。

小手村 凪子小手村 凪子

納まりの良い外壁を作るのは難しそう。

稲熊サトシ稲熊サトシ

日の当たり加減はいつも意識しているよ、日当たりで乾き具合、仕上がりが全然変わってくる。夏は乾きが早いので人数を掛けないといけない、南側で日当たりが良いと、上から塗って行って下に到達する前にもう掻き始めないといけない。反対に真冬は乾き辛いので朝一番で塗っても乾きが遅くて、掻き始めるタイミングが日没前後だったりする。

小手村 凪子小手村 凪子

スピードと予測が大切ね。

稲熊サトシ稲熊サトシ

それから、かき落としの後の掃除かな、かき落とした材料が沢山下に落ちる。だから事前にブルーシートを敷いておく。これが結構大変で最後に土嚢袋に詰めて帰る。

小手村 凪子小手村 凪子

稲熊さんはそとん壁は好き?

稲熊サトシ稲熊サトシ

他の材料にない質感が良いよね。機能性が話題になるけれど、実は意匠性も高いと思ってる。意匠(デザイン)については用語集で確認してみてね。

小手村 凪子小手村 凪子

お薦めのポイントは?

稲熊サトシ稲熊サトシ

パッと見て自然素材と分かる風合い、インパクトのある外壁ならそとん壁がおすすめだね。

小手村 凪子小手村 凪子

ありがとう、工事を依頼する場合の注意点が分かったわ。

そとん壁外壁の施工の観点からのポイント

・そとん壁には防水性がある。
・かき落としとスチロール鏝仕上げが人気。
・雨の当たる部分は板金などの素材を使用する。
・開口部にはコーキング処理をする。
・コーナー定木の部分は工夫が必要。

そとん壁はセルフメンテナンス可能?外壁を綺麗に保つコツを左官のプロが解説

小手村 凪子小手村 凪子

そとん壁の施工について知れたわ。

taguchitaguchi

そとん壁」は設計士から結構依頼がある。お客さんがそとん壁の情報を見て、一軒丸ごとやりたい!みたいなケースも多いし、玄関だけとか、中庭だけとか部分的に使う場合と半々かな。

小手村 凪子小手村 凪子

設計士からもユーザーからも人気があるのね。

taguchitaguchi

意匠的というか風合いが良いよね、板金やサイディングは工期が短いメリットはあるけれど、やはり塗り壁の意匠性は高い。それと塗り物は自然素材なので、他の壁材と比べて経年の汚れが目立つけど、少しメンテナンスすればきれいになるし長持ちする。

小手村 凪子小手村 凪子

そとん壁はボロボロ崩れるの?ネットでそういう記事を見たわ。

taguchitaguchi

壁がボロボロ落ちてくるというケースは、これはそとん壁に限らず塗り壁全般の話になるけど、昔の素材は土とか泥の成分が多かったから表面がはがれてくる事があったが今は殆どない。それと表面の塵は、仕上げの段階でブラシで払うのでめったに起きないよ

小手村 凪子小手村 凪子

何か対策はあるの?ボロボロ外壁が落ちてきたら後悔するかも。

taguchitaguchi

漆喰かき落とし などに相性の良いコーティング材も出てきた。そういう仕上げ材を使うのも良い。自然素材なのでカチコチには出来ないけど、強度は保てるよ。

小手村 凪子小手村 凪子

コーティングするかも考えてみるわ。

taguchitaguchi

ちなみに スチロール鏝 仕上げだと、経年で汚れても高圧洗浄機でかなりキレイになる。カビや藻も綺麗に落ちると言われているよ。圧力が高すぎると外壁を痛める場合があるから注意が必要だけどね。

小手村 凪子小手村 凪子

そうなんですね。

taguchitaguchi

今は波ラスで下塗りをする、その上から上塗り材を塗るので不具合は殆ど心配ない。どちらかというと上塗り材よりも、下地がどれだけしっかりしているかの方が重要かな。これもそとん壁に限らず塗り壁全般に言える事だけど。

小手村 凪子小手村 凪子

塗り壁は下地作りが重要なのね。ちなみに田口さんのそとん壁のおすすめポイントはどんな点ですか?

taguchitaguchi

風合いがとても柔らかい外壁になるよ、そとん壁を使えば、風情のある住宅の外眼が演出できるね。あとは耐久性、対候性、メンテナンスの観点で他の素材と価格も含めて比較して決めると良いかな。

小手村 凪子小手村 凪子

どの外壁素材を使うかって、とても迷うわね。

taguchitaguchi

塗り壁は手仕事だから、そとん壁のような自然素材の価値と併せて、技術の価値が伝わっていく事は良い事だと思う。

小手村 凪子小手村 凪子

白洲(シラス)という昔ながらの素材に、時代を超えた価値があるのかも。

そとん壁外壁の汚れたコート材のポイント

・そとん壁は設計士からも人気。
・そとん壁は自然素材の良さがある。
・ボロボロ落ちる事は殆どない。
・コーテイング材、仕上げ材で強度が保てるようになった。
・汚れが気になったら、高圧洗浄を弱めに掛けると良い。

そとん壁の汚れや剥がれ、補修やセルフメンテナンスの方法は?左官のプロが解説

小手村 凪子小手村 凪子

そとん壁の補修について教えて。間宮さんと生田さんはそとん壁の工事は多い?

間宮秀樹間宮秀樹

うちは結構やっている方かな。

生田泰幸生田泰幸

ウチはたまに位かな。

小手村 凪子小手村 凪子

補修で気を付けているのはどんな事。

間宮秀樹間宮秀樹

かき落とし だと冬場の工事の場合は気温、湿度、天候などで 白華 がでるからね。自然素材だから気温は要注意。

小手村 凪子小手村 凪子

対策は何かあるの?

間宮秀樹間宮秀樹

サンポールなど酸性の液体をかけてムラを丁寧に落としていく。

小手村 凪子小手村 凪子

確かに色ムラがあると気になるかも。

間宮秀樹間宮秀樹

乾く途中で雨や霧などで水分が当たったり、とにかく寒い時期には起こりやすいから注意が必要だね。

小手村 凪子小手村 凪子

補修だと色合わせも大変そう。

間宮秀樹間宮秀樹

昔、モルタル 下地からの補修で白華が起きた記憶がある、気温の要素が大きいので補修は季節を選んだ方が良いね。

小手村 凪子小手村 凪子

冬場は避けた方が良さそうね。

生田泰幸生田泰幸

専用の白華防止剤も出ているね。割と価格は高めだけれど。

小手村 凪子小手村 凪子

濃い色の外壁で寒い時期の工事は白華防止剤も検討してみた方が良さそう。

生田泰幸生田泰幸

それから タイル 周囲の取り合いでも白華がでる場合がある。

小手村 凪子小手村 凪子

他には白華を抑える方法があるの?

間宮秀樹間宮秀樹

冬場は乾燥が遅いからね、乾燥の促進剤などを加えると押させられるかも知れない。

小手村 凪子小手村 凪子

乾きのスピードが重要なのね。

間宮秀樹間宮秀樹

あと角の部分を強くぶつけたりすると、壁材が剥がれて定木が見えてきてしまう場合がある、これはそとん壁に限らず大きな骨材の外壁の宿命かな。だからそんな時は、壁の補修の前に定木も同系色で塗ると綺麗に補修できる。

小手村 凪子小手村 凪子

定木は白かグレーだったわね。それ以外の時はそんな工夫をしているのね。

間宮秀樹間宮秀樹

樹脂でなく無機質の自然素材なのでパターンによっては、濃い色だとムラがでる場合があるので、打合せはしっかりした方が良い。

小手村 凪子小手村 凪子

濃い色の外壁の場合はしっかり打合せするわ。

間宮秀樹間宮秀樹

それから薄い色だと、どうしても経年劣化で汚れが気になる場合があるけど、洗浄や塗り直しで綺麗にできる。

小手村 凪子小手村 凪子

ボロボロ落ちるというネット記事もあったわ。

間宮秀樹間宮秀樹

ボロボロといっても外壁の仕上げが自体 かき落とし だと、施工直後だと掻いた部分が表面に付着している場合がある。自然に雨風で落ちるのでまったく問題はないよ。最初は柔らかくて徐々に硬化してくる。自然素材の塗り壁の特徴だね。

小手村 凪子小手村 凪子

そとん壁の補修について良く分かったわ。

間宮秀樹間宮秀樹

そとん壁を使うと重厚感のある外壁になる。好きな方には堪らない映える外観の住宅になるね。

小手村 凪子小手村 凪子

そうなんだ。

生田泰幸生田泰幸

外壁だけでなく、内装材に使っても面白い素材だよ。

小手村 凪子小手村 凪子

ありがとう、また教えてね。

そとん壁外壁の補修や色ムラ対策のポイント

・そとん壁など自然素材の補修は白華に注意。
・白華は寒い時期に発生する事が多い。
・白華は酸性の液体でムラを調整できる。
・白華防止剤も販売されている。
・濃い色と薄い色のメリット、デメリットがある。

この記事のまとめ

今回は近年人気の高い「そとん壁」について解説しました。自然素材への回帰熱が高まってる建築業界ですが、自然素材ゆえの魅力と共に、自然素材ゆえの取り扱いの難しさやコツというものがある、という事がお分かり頂けたのでは無いでしょうか。
外壁の場合は一定年数でメンテナンスが必要となります。欲しい性能やデザインと初期費用やメンテナンス費用をトータルに考え、最適な選択ができると良いですね。
外壁の事でお悩みでしたら、「壁ダンに相談」に投稿してみて下さい。複数の左官のプロが回答させて頂きます。