断熱と遮熱の違いを事前に整理しよう
塗り壁の魅力を最大に引き出せない原因、住宅購入前に知らないと損をする壁性能の話
断熱材とは、熱を伝わりにくくする材料のことで、快適な生活を送る為には欠かせない建築資材です。 一言で断熱材といっても、様々な種類、工法があります。では、断熱材にはどのような種類があるのか、またどのような方法で施工されるのか、紹介していきたいと思います。 また、その断熱材と左官材(塗り壁材)はどのような関わりをもっているのか説明していこうと思います。まず、断熱材にはどのような種類があるのか、ご紹介していきます。
①グラスウール
ガラスを繊維状に加工したもの。価格も安価で、広く普及しています。湿気に弱いというデメリットがあります。
②ロックウール
天然の鉱石を繊維状に加工したもの。グラスウールとよく似ています。撥水性がありますが、湿気にはあまり強くありません。グラスウールと比べ、若干コストが高いです。
③セルロースファイバー
新聞紙や段ボールなどを綿状にしたもの。防火性能が高く、また調湿性があり、結露を防ぎます。 コストが高く、専門業者の施工が必要というデメリットがあります。
④ウールブレス
原材料の羊毛に、防虫処理をしたもの。調湿効果があり、断熱性も高く、また吸音性も高いという特徴があります。コストが高く、取り扱い業者が少ないのがデメリットです。
(画像はイメージです。)
⑤炭化コルク
ワインの栓などを製造する際に出た端材を利用したもの。断熱、調湿、吸音性に優れており、また防虫効果もあります。端材を利用するため、エコロジーな材料といえますが、コストは高いです。(画像はイメージです。)
⑥ポリスチレンフォーム
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)、押出法ポリスチレンフォーム(XPS)の2種類があり、前者は一般的に発泡スチロールと呼ばれるもの、後者はホームセンターなどでもよく見かけられます。 断熱性が高く、水に強く軽量で加工しやすいというメリットがあります。いっぽうで、熱に弱いというデメリットがあります。 最もポピュラーなXPSの商品では、「スタイロフォーム」というものがあります。
⑦硬質ウレタンフォーム
高断熱性、また水や湿気にも強く、気密性能が高いという特徴があります。コストが高く、専門業者の施工が必要です。
⑧フェノールフォーム
特殊な樹脂(フェノール樹脂)に発泡材や硬化剤を混ぜ、ボード状に形成した断熱材です。断熱性が高く、プラスチック系の材料なので、水や湿気に強いです。 また、熱に強いという特徴があります。ただし、コストは高くなります。最もポピュラーなものでは、「ネオマフォーム」という商品があります。
断熱材一覧表
No | 断熱材 | 分類 | 価格 | 充填 | 外貼り | 断熱性 | 不燃性 | 調湿性 | 防音性 | 備考 |
1 | グラスウール | 無機繊維系 | 安価 | ○ | - | ○ | ○ | × | ○ | 湿気に弱い |
2 | ロックウール | 無機繊維系 | 安価 | ○ | - | ○ | ○ | × | ○ | 湿気に弱い |
3 | セルロースファイバー | 木質繊維系 | 高い | ○ | - | ◎ | ○ | ○ | ◎ | 気密性が高い、吸性放湿性あり。施工業者少ない |
4 | 羊毛(ウールブレス) | 天然素材系 | 高い | ○ | - | ◎ | ○ | ○ | ◎ | 防虫効果あり、施工業者が少ない |
5 | 炭化コルク | 天然素材系 | 高い | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | 断熱・調湿・吸音性・防虫効果あり |
6 | ポリスチレンフォーム (EPS・ XPS) | 発泡プラスチック系 | 高い | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | 水に強い、軽量、熱に弱い、施工がしやすい |
7 | 硬質ウレタンフォーム | 発泡プラスチック系 | 高い | ○ | - | ◎ | ○ | × | ○ | 燃えると有毒ガスがでる |
8 | フェノールフォーム | 発泡プラスチック系 | 高額 | ○ | ○ | ◎ | ○ | × | ○ | 耐久性高い |
内装の塗り壁の性能を発揮させるには?
塗り壁と聞くと、「自然素材」といったイメージがあるとおもいますが、他にはどんな特徴があるのでしょうか?漆喰や珪藻土といった塗り壁には、吸放湿性というものがあります。一方、ビニールクロスには、吸放湿性はほとんどありません。 塗り壁の吸放湿性は、結露を防ぐという効果もあります。断熱材には湿気に弱い種類(特に充填工法)もありますので、塗り壁材と併用することにより、デメリットを補うことができます。
外断熱と塗り壁が一体に?
外断熱工法では、EPS材(注1)や、XPS材(注2)といったボードを躯体(骨組み)の外側に貼る工法ですが、その中でもEPS材(簡単に言えば発泡スチロールと思っていただければ良いかと思います)の上に直接外壁用の塗り壁材を塗ってしまう工法があります。 樹脂モルタルのような、接着力の強いもので下地を塗り、樹脂系の塗り壁材で仕上げ塗りをします。 サイディングなどの板材と比べ、重量が軽いというメリットがあります。実際の現場では、ESP材貼りにプラスして、充填工法でグラスウールやロックウールを施工する「W断熱」の工法をすることが多いようです。
意外と知らない?遮熱と断熱は別物
「遮熱」と「断熱」 どちらもよく耳にする言葉かと思いますが、実はこの2つ、意味が違うんです。「断熱」は熱の伝わりを抑えること。 住宅に使われる断熱材は、外気温の影響を室内に伝わるのを防ぎ、夏は涼しく、冬は暖かい、また省エネに繋がるといった快適性を上げることを目的としています。 対して「遮熱」とは、光を反射することで、表面温度などが上昇するのを防ぐことです。最近は、遮熱塗料など、ホームセンターでもよくみかけられます。部屋の中の熱を逃がさないようにすることが「断熱」 外の熱を内部へ入れないようにすることが「遮熱」と言えば分かりやすいでしょうか?
あと書き
今回は「断熱材」ついて考察してみました。上記の通り、断熱材といっても様々な種類があり、それぞれにメリットデメリットがあり、またコストもそれぞれに差があります。
断熱材を選ぶ際には、性能やコストももちろん重要ですが、デザインも豊富な塗り壁と絡めて、選んでみてはいかがでしょうか?
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